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2016.09.02
公立と私立の保育園、保育士の給与や待遇はどう違う?
保育園には、自治体が運営する公立と、民間企業が運営する私立の2種類があります
保育園には、自治体が運営する公立と、民間企業が運営する私立の2種類があります。保育士としての就職活動を考えた時に、どのような違いがあるのか気になった人も多いのではないでしょうか。今回は、公立と私立で異なる保育士の給与や待遇についてスポットを当ててみました。
公立保育園と私立保育園、どこが違うの?
公立と私立、運営元が違うだけだと思っていませんか?実は就職するための過程でも、大きな違いがあるのです。
公立保育園で働く保育士は「地方公務員」
公立保育園で働く保育士は、自治体に就職することになりますので「地方公務員」です。そのため、公立保育園に就職するには保育士養成課程のある学校を卒業する、もしくは保育士試験に合格するだけではなく、各自治体の「採用試験」に合格する必要があります。
合格後は保育士の空きがある保育園に配属されることになりますが、空きがない場合は採用候補者名簿に登録されるだけで、実際に就職することはできません。登録期間は1年間。その間にいずれかの保育園で空きが出れば採用となりますが、出なければ翌年に再度採用試験を受けなければならないのです。
私立は希望する保育園ごとに採用試験を受ける
私立保育園で働くには、希望する保育園の採用試験を受けて、採用が決まれば就職決定となります。もちろん併願も可能。希望が複数ある場合には、それぞれの保育園ごとに採用試験を受けなければなりません。
私立保育園は公立保育園に比べると、施設の運営に関して独自の考え方を持っています。そのため保育園によって求める人材や採用方針などが異なりますので、それらを下調べした上で就職試験に臨む必要があります。
安定性や待遇で人気の高い公立は狭き門
厚生労働省が毎年行っている「社会福祉施設等調査の概況」によると、2014年の保育園の総数22,992施設に対し、公立保育園は8,973施設と全体の約4割。つまり公立と私立では、全体の施設数はそれほど変わりがありません。
一方で、公立保育園で働く保育士は「公務員」としての安定性や待遇の良さなどから、私立と比べると離職率は低い傾向があるようです。離職する人が少ないとその分、欠員が出にくいということですから、採用されるのは狭き門といえるでしょう。
(参考)厚生労働省 平成26年社会福祉施設等調査の概況 第7表
給与にも違いはあるの?
公立保育園と私立保育園、保育士の給与にはどのような差があるのでしょうか?
毎年昇給で給与が上がる公立
繰り返しになりますが、公立の保育士は「地方公務員」。そのため、各自治体の給与規定に則って給与が支給されることになります。
公立保育園では年に1回「定期昇給」があり、勤務成績に基づき数千円程度ずつ給与が上がっていきます。1年に数千円ずつでも、10年経てば数万円のアップになりますので、長く働き続けるほど給与の水準が高くなるのが特徴です。
各保育園によって給与体系が異なる私立
私立保育園の場合、勤務先がどのような給与体系になっているかによって保育士に支給される金額は大きく異なります。保育園によっては、初めから高い水準の給与を支給しているところもあるのが私立の特徴。就職活動の際には、求人票を見て比較検討してみるのがおすすめです。
その一方で、私立は公立と異なり、年1回の定期昇給システムが必ずあるわけではありません。最近では一般企業でも定期昇給を実施しているところはそう多くないため、このようなシステムの有無は事前に確認しておくほうがよいでしょう。
ほかにも公立と私立の待遇の違いはある?
公立と私立は、給与以外にはどんな点で違いがあるのでしょうか?
公立は転勤することもある
公立保育園の大きな特徴は「転勤」があることです。もちろん、私立でもいくつも保育園を経営している場合は転勤があることもありますが、そういった施設は少数なので基本的に転勤や異動は多くありません。
公立の場合は、その地域で保育園が1か所しかないという場合を除き、数年で転勤になることが多いようです。ただし、その自治体の中での異動ですので、転居が必要となるような遠方への転勤はほとんどないと考えてよいでしょう。
私立は有給が取りづらい?
公立保育園は、厚生労働省が有給休暇の100%消化を推進していることもあり、事前に申請さえしていれば、比較的休暇は取りやすい環境にあります。
一方、私立保育園の中には人手不足に苦しむ施設もあり、有給休暇を取りたいと思ってもなかなか言い出せなかったり、取れるような雰囲気ではなかったりすることもあるようです。どうしても休みたい場合は、できるだけ早めに相談して勤務シフトを調整してもらいましょう。
(参考)厚生労働省 有給休暇
まとめ
公立保育園と私立保育園では、給与などの待遇を含め、さまざまな違いがあります。待遇の良さや安定性ばかりが注目されがちな公立保育園ですが、現場の声として、失敗やトラブルを恐れる傾向から現場のやり方が変化に乏しかったり、年功序列で保育士としてのスキルアップに疑問を感じたりといったこともあるようです。
一方、私立保育園では比較的制約の少ない環境の中、積極的に意見が言えたり、スキルアップのためにさまざまな挑戦がしやすいということもあります。
勤務先にどんなことを求めるかによってメリット・デメリットは変わりますので、保育士としての将来像をイメージしながら自分がイキイキと働ける保育園を選びたいですね。
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