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2016.09.26
待遇だけにとらわれない!保育士としてのキャリアプランのすすめ
数ある求人票を眺めながら、『どの求人にしよう・・・』と悩んでいる方も多いはず。そこで、保育士の平均的な給与や、その他の待遇・園選びのアドバイスをご紹介します。
保育士として求職活動を行っている方にとっては、『初任給がいくらもらえるのか』『どんな待遇があるのか』という部分は、就職先を選ぶにあたって重要視するポイントだと思います。
数ある求人票を眺めながら、『どの求人の待遇がいいのか分からない』と悩んでいる方も多いでしょう。
そこで、今回は平均的な保育士の初任給を調べてみました。仕事を探す上で、給与が全てではないものの、平均的な値を知ることで、いくつもある求人を比較する目安にはなるはずです。また、平均的な値を知っておくことで、待遇が望ましくない保育施設に就職してしまうというリスクも回避できます。
さらに給与の安定はもちろんですが、昇給があれば、なお理想的ですね。今回は初任給だけでなく、厚生労働省が発表している保育士の平均年収もあわせて紹介いたします。行政が発表しているデータで信憑性が高いため、待遇への懸念がネックになって、保育士としての就職をためらっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
公立保育園に就職する場合の平均的な初任給
公立の保育園で働く場合は、地方公務員の給与規定に従って初任給が決定されます。
自治体ごとに支給額は異なりますが、短大卒で16万~17万円程度が平均値。東京や神奈川、埼玉、大阪、人口が多い都市では、地域手当が加算されて、他の都市よりお給料が高くなり、待遇にも違いがあります。
金額だけ見ると、初任給がいいわけではないように感じますが、住居手当、ボーナスなどの各種手当がつくと、安定した生活を送ることができるレベルの金額になります。そのため公立保育園は保育の就職先の中では、比較的待遇がいい就職先と言えるでしょう。
私立保育園に就職する場合の平均的な初任給
私立保育園の初任給や待遇は園によって異なりますが、平均的な初任給は16万~17万程度と、基本給だけだと公立と大差はありません。ただし、残業手当が出なかったり、ボーナスがなかったりと初年度の手取りとなると、大きな差がつく場合があります。
社会保険が整っていない保育園に就職すると、国民年金、国民健康保険に自分で加入する必要があるため、毎月手元に残る金額は13万~14万円になってしまいます。
そのため私立保育園の求人票を見るときは、初任給だけでなく、各種保険完備であるか、ボーナスや通勤手当の支給がされるかなど、細かな条件面まで含めた待遇を比較することをおすすめします。
保育士の昇給について
保育士の平均年収のイメージは『低い』『昇給・待遇が望めない』といった、マイナスな印象が強い方も多いと思いますが、公立保育園の場合は勤務年数に応じて、確実に昇給が期待できます。そのため、公立保育園は私立保育園と比較すると離職率が低い傾向にあるようです。
しかし、私立保育園でも一般企業が経営している保育園や、大規模な保育園の場合には、経験に応じた昇給制度・待遇が用意されていることがほとんどです。
厚生労働省が発表している統計調査によると、平成25年度の保育士全体の平均年収は3,098,000円、月額給与は213,200円とされています。収入が数倍になるというわけではありませんが、続けていれば多少の昇給は期待できることが分かります。
昇給はわずかではあるものの、結婚や出産を機に一旦現場を離れても再就職がしやすいのは、保育士資格を保有している強みです。一般的に、女性の場合で一度仕事を離れてしまうと、希望する職業での再就職が困難な現状がありますが、保育士の場合は保育士資格を持っていて、現場経験がある方への需要は高く、求職者側の売り手市場。場合によっては、元々働いていた職場に復帰するという選択肢も可能でしょう。
さらに最近では、産休・育休制度などの待遇がある園も多く、自らが子どもを育てた経験がある保育士は、即戦力として、重宝されます。自分の子どもが巣立った後に、もう一度子どもの成長を間近に感じる喜びを経験できるのは、保育士の仕事の最大の魅力と言えるでしょう。
保育園選びは給与・待遇以外にも注目!
自分の就職したいと思う幼稚園・保育園探しをしている際、つい給与・待遇にばかり目が行きがちですが、長く同じ園で勤務したいと思っている場合には、園の特色をよく調べることも大切です。
現在働いている保育士でも、『私はなんだかこの園と合わない』と思っている方は、思い切って別の園へ転職するのも一つの選択です。何より大切にしたいのは、“自分が楽しく働くことができるか”ということです。
では園選びをする際に、求人票や見学で注目しておくべきポイントは何でしょうか?
1、園の特色を知る
「給食かお弁当か」「自由保育が多いか、一斉保育が多いか」「徒歩通園かバス通園か」「園児の規模はどのくらいか」「英語や体育といったカリキュラムはあるか」など、それぞれの園ごとに必ず特色があると思います。
自分が保育士になった時のことを想像してみてください。きっと漠然としてであっても、“こんな幼稚園・保育園がいいな”という希望はあることでしょう。求人票で確認した後は、園のホームページを見る、そして実際に自分で見学に行ってみることをオススメします。
2、園の休暇について知る
待遇の一つが休暇。
幼稚園の場合は、基本的に“有給休暇”というものはない園が多いですが、夏休みや冬休みの期間、幼稚園教諭も子どもたちと同じようにほぼ同じ期間休暇となり、給与も発生します。
しかし、中には独特の園もあり、3年目までは土日を除いた休暇が年間で10日ほどしかない、というところもあります。はじめから休暇の話をこちらからするのは少し失礼にあたるかもしれませんが、「今後の自分のため」と思って勇気をだして休暇について確認しておきましょう。
保育園の場合は、正職員の保育士や、パートの保育士など、園内の保育士の中で交代で有給休暇を取得する園がほとんどです。休暇の待遇については求人票にはっきり明記していなかったり、園によって休暇の取得方法が異なるので、幼稚園同様、休暇の取り方は確認しておくとよいでしょう。
3、園の雰囲気を感じる
これが一番難しいことかもしれません。保育の現場は9割が女性と言われていて、実際に女社会特有の職場のいじめにより、泣く泣く退職・転職する保育士も多いというのが現状です。
全てはわからないにしても、見学に行った際に保育士たちが自分に笑顔で気持ちよく挨拶してくれるかということや、保育士同士のコミュニケーションの様子、保育士の子どもへの接し方・子どもの様子などから、園の雰囲気を感じ取ることはできます。
入職した後でも、特定の保育士から嫌がらせを受けたとしても、他に相談できる保育士がいる・いないとでは話も違ってきます。園の見学は短い時間ではありますが、“雰囲気の良い・悪い”を注意してみてみるとよいですね。
保育士経験を活用したキャリアチェンジ
保育士として数年間経験を積んだ後、リトミックやチャイルドマインダー、ネイチャーゲーム指導員、民間資格を取得してキャリアチェンジをねらう方もいます。リトミックインストラクターの資格を取得すれば、自宅で親子教室の開講も可能です。
「元保育士」のうたい文句は、生徒を募集するときの大きな宣伝材料になりますし、実際の教室運営にあたっても、子どものあやし方や扱い方を知っていると、子どもとのコミュニケーションが円滑になり、子どもが喜んでいる姿を見た保護者からの評価もアップします。
資格取得講座を選ぶ時には、独立開業のサポートまでお願いできる学校を選択すると、キャリアチェンジがスムーズに進みます。経営がうまくいけば、保育士時代を大きく上回る収入を期待できる可能性も。
自分の可能性を信じて、自ら経営に携わるという道もあることを考えると、夢が広がりますね。
ネイチャーゲーム指導員は、自然体験教室のインストラクターになるための資格、チャイルドマインダーは、少人数の乳幼児保育サービスのプロフェッショナル資格です。いずれも、個人事業主としての開業する、もしくは、サービス提供企業に所属しての勤務が可能です。保育士の経験を活用しつつ、異なる側面から子どもの学び、成長をサポートしたいという方には、人気があります。
子どもとの接し方を知っているというのは、社会的に大きなアドバンテージと考えて、保育士としての自分の経験を高く評価し、必要としてくれる職種へキャリアチェンジをするというのも、1つの将来設計のあり方であると、頭の片隅に置いておくといいでしょう。
まとめ
初任給や昇給、単純に待遇だけを考えると、保育士は条件がいい仕事であるとは言えません。しかし、生活が難しい程の薄給という訳では決してなく、子どもの成長を間近に見守ることができる非常にやりがいのある仕事です。
また保育士として働いた経験は、後の自分の財産となりキャリアチェンジの可能性も広がります。
これから保育士を目指す方は、目先の待遇や条件だけを単純比較するのではなく、「子どもが好き」という自分の気持ちを大切に、後悔のないキャリア選択をすることをおすすめします。